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【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】アメリカ大陸のアテネ 中米ホンジュラス西部「コパンのマヤ遺跡」 (2/2ページ)

 これらは主として、コパン芸術の後見人と呼ばれた全盛期の第13代「18ウサギ王」が、独自の丸彫り技法を用いて建立したもので、王はそこに幼少から老年へと至る己の姿を刻んでいます。

 1989年には「神殿16」の調査中にロサリラと呼ばれる地下神殿が発見されましたが、その前には直方体の「祭壇Q」があり、これはコパン王朝史の解明に大きく貢献し、王朝の創始者から歴代の王朝の存在が証明されました。

 祭壇の4つの側面には、それぞれ4人ずつ歴代16人のコパン王が、自分の名前を意味するマヤ文字の上に座する形で彫刻されており、初代の王から最後の王へと王権を象徴するつえの手渡される様子が繊細に描かれています。

 これは、第16代目の王ヤシュ・パサフが、自分の即位を正当化するために彫らせたものですが、私には古代日本において「壬申の乱」に勝利した天武天皇が、皇位継承の正当性をアピールするために作らせた『日本書紀』のようにも感じられました。しかし、コパンは事実上、16代で終わっているので、この王は天武天皇(大海人皇子)ではなく、滅ぼされた大友皇子だったのかもしれません。

 ■黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ) 慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム(株)テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、旅について熱く語る。

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