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【進化する腸内細菌医療】がんなど病気予防や治療効果にも関わる「腸内細菌の叢」 (1/2ページ)

 大腸がんではステージごとに、腸内細菌叢(そう=多種多様な細菌の集まり)や、腸内細菌が作り出す代謝物質が変化することを前回紹介した。診断用のAI(人工知能)を用いた機械学習モデルも開発され、便を調べるだけで、大腸がんの有無やステージを明らかにする研究が進行中だ。

 同時に、予防の新たな研究も進められている。

 「大腸がんのリスクファクターとして、大規模な疫学研究(コホート研究)により、飲酒習慣などが顕著であるといわれています。また、西洋食もがんのリスクを高めます。現在、大腸がんと食べ物の関係について、腸内環境データに基づいて明らかにするべく、腸内細菌の遺伝子解析と代謝物質解析を行っているところです」

 こう話すのは、東京工業大学生命理工学院生命理工学系准教授、山田拓司氏=顔写真。統合解析(バイオインフォマティクス)による大腸がん研究の第一人者で、他の研究機関との連携や産学協同で革新的な研究を進めている。

 「腸内環境には個人差があります。同じ量の肉類を食べても、ある種の腸内細菌が増える人とそうでない人がいます。そのような違いも調べることで、どのような腸内環境の人が、どの食品を食べればよいのかを明らかにしたいのです」

 たとえば、大麦などの血糖値が上がりにくい食材を朝食で食べると、昼食後の高血糖も抑制されることをセカンドミール効果という。ところが腸内細菌叢によっては、このセカンドミール効果が得られない人がいる。腸内環境タイプに基づく健康維持や病気予防の方法について、山田氏らの研究グループは解明しようとしているのだ。

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