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【進化する腸内細菌医療】潰瘍性大腸炎に有効「便移植療法」 家族など健康な人から採取 (1/2ページ)

 一般的に、腸内細菌叢(そう=多種多様な細菌の集まり)は家族であっても、一人一人で異なるといわれる。その違いなどが、腸内細菌叢を移植する「便移植療法」で分かってきた。

 「腸内細菌叢を移植するとき、患者さんと相性のよいドナーには、法則があることが明らかになってきました。肝臓や腎臓の臓器移植のドナーマッチングに似ています」

 こう話すのは、順天堂大学大学院医学研究科消化器内科学講座の石川大准教授。

 今年6月、潰瘍性大腸炎に対する便移植療法の研究で、患者とドナーの関係が(1)兄弟姉妹で、(2)10歳以内(同世代)のときに、長期的な治療効果が高まることを明らかにした。

 安倍晋三首相の辞任表明で話題になった潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に繰り返し潰瘍などができる炎症性の病気で、国の難病指定になっている。潰瘍性大腸炎には腸内細菌叢のアンバランスが関与するため、健康な人の腸内細菌叢を移植しバランスを是正しよう、という治療法のひとつが、便移植療法だ。

 「2014年から便移植療法の研究を進め、長期的な効果が持続する人とそうでない人がいることがわかってきました。その理由を探るため詳細な解析を行った結果、患者とドナーの関係は、親子関係や生活環境が同じ配偶者関係よりも、兄弟姉妹で、年齢差が10歳以内であれば相性がいいことを明らかにしました」

 そもそも石川准教授らは、世界初の「抗菌剤併用便移植療法」という独自の方法を考案。3種類の抗生剤で患者の腸内細菌を限りなく減少させた上で、新たな腸内細菌叢を移植している。つまり、病気に関わる乱れた腸内細菌叢をリセットした上で、移植しているのだ。

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