記事詳細

【BOOK】AI進化で問われる人間の覚悟 意識が生まれる日は来るのか 茂木健一郎さん『クオリアと人工意識』 (1/3ページ)

 脳科学、認知科学の第一人者として活躍する茂木健一郎氏が、自身のメーンテーマとして追いかけてきた「意識」と「クオリア」について16年ぶりに書き下ろした本書は、氏の新たな代表作にして問題作になった。人工知能(AI)が「人間と同等」になる日は、くるのだろうか。 文・たからしげる 写真提供・茂木健一郎氏

 --まず、クオリアとは何ですか

 「赤い色の感じとか、水の冷たさなど、心の中で感じる質感を表します。現代の脳科学では、私たちの持つ意識の本質と考えられています。また、人工知能には持てない、私たちの意識だけが持つ性質がクオリアなのではないかと言われています。人間の経験の価値を支えるものですから、感動、うれしさ、味わいなど、日常の生活や経済を考える上で大切なことにも関係しています」

 --脳科学的に説明のつく現象ですか

 「最終的には科学的に説明できると多くの研究者が信じていますが、今のところ決定的な理論、実験はありません。クオリアを解き明かすことは、人類の知的チャレンジの中でも最大のものとみなされています。ただ、脳の中の神経細胞の活動からクオリアが生まれることだけは今までの研究から確かです」

 --自身がクオリアについて関心を持ったのはいつ、どんなきっかけから

 「物理学の大学院で博士号をとったあと、理化学研究所で脳の研究を始めて2年目の冬でした。電車の中でノートを書いていて、突然、ガタンゴトンという音が生々しい質感として聞こえました。その瞬間、この質感は、いくら音波を周波数で分析してもわからないな、と悟りました。後に、それがクオリアと呼ばれていることに気づいたのです」

関連ニュース