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【ここまで進んだ最新治療】難病「脊髄性筋萎縮症」救う1億円超の新薬 「ゾルゲンスマ」投与対象は年間25人 (2/2ページ)

 SMAの治療薬は、これまで2017年に承認された「スピンザラ」という薬しかなかった。SMN1遺伝子に異常のあるSMA患者でも、「SMN2遺伝子」という「バックアップ遺伝子」をもっている。しかし、バックアップ遺伝子で産生されるSMNタンパク質は、ごく一部(10%)しか完全な機能をもっていない。

 スピンザラはバックアップ遺伝子に作用して、完全な機能をもつSMNタンパク質を増やす薬。脊髄(背骨)に針を刺して、薬剤を注入することを4~6カ月ごとに一生行う必要がある。

 一方、1回の投与で済むゾルゲンスマは、体内でどんな作用をするのか。

 「この薬はウイルスベクター製品と呼ばれ、正常なSMN1遺伝子をウイルスの殻(から)で包んだ構造をしています。静脈投与するとウイルスの感染力によって脊髄に到達します。そして脊髄内の細胞核内にSMN1遺伝子が取り込まれて永続的に留まり、正常なSMNタンパク質が産生されるようになるのです」。

 海外の治験では、治療を受けた15人全員が2年後も呼吸管理をしなくても生存するなど、良好な成績が報告されている。薬価が1億円超だが、SMAの年間新規患者は約60人で、うちゾルゲンスマの対象は25人程度。医療保険財政に直ちに大きな影響はないとみられている。 (新井貴)

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