記事詳細

【BOOK】犬と出会い救われる死 人類の愚かしさ悲しさ表現するのに効果的 馳星周さん『少年と犬』 (1/3ページ)

 1996年のデビューと同時に直木賞初候補から実に7回。ほぼ20年越しでつかんだ栄冠だ。受賞作は出世作のノワール(暗黒)小説とは真逆に思える1頭の迷い犬に人間が救われる感動のストーリー。その作品に込めた想いとは-。北海道浦河町で夏を過ごしていた馳星周さんにリモート取材した。(文・竹縄昌)

 

 --7度目の候補でした。聞いたときは

 「6回も落ちて、もうないだろうと思っていたから、“マジかよ”でした」

 --学生時代にアルバイトをしていた新宿ゴールデン街の「深夜プラスワン」の経営者でもあった内藤陳さんがご存命なら、受賞をなんと

 「よくやったな、よかったな、ぐらいだと思いますよ」

 --コロナ禍で、選考会後の記者会見も先日の贈呈式もリモート画像での出席でした

 「昨年から夏の3カ月ほどを故郷の浦河町に滞在するようになりました。ここは競走馬の産地なんですが、この町には感染者がいないんです。僕が東京を往復し、もしコロナウイルスを持ってきてしまって牧場の関係者に感染したら、馬の世話をする人がいなくなってしまうこともなきにしもあらずだったものですから用心しました」

 --ノワール小説の旗手。しかし今作はそれとは別種の作品での受賞です

 「でも、馳星周という小説家のものの見方、世界観は変わらなくて、ただ表現の仕方が年齢とともに変わっているんです。若い頃は狭量だけど、今はいろんなことを受け入れられるようになったということだと思います」

関連ニュース