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【マンガ探偵局がゆく】船乗りに憧れるきっかけのマンガ 夢に向かって出航する少年の物語「3月の風は3ノット」 (2/2ページ)

 作者の坂口尚は、1946年生まれ。63年、手塚治虫が設立したばかりのアニメスタジオ「虫プロダクション」に定時制高校在学のまま入社、という経歴の持ち主。目標に向かって体当りしていく主人公には作者自身を思わせるものがある。

 マンガ家としては69年から活動。アニメーターとマンガ家を両立させ、70年代後半からのニューウエーブ・ムーブメントではムーブメントを代表するマンガ家として数多くの短編を発表。本作もそのひとつだ。

 83年には「コミック・トム」に長編『石の花』を連載。89年からは同誌に『VERSION』、93年からは「月刊アフタヌーン」に『あっかんべェ一休』を連載したが、同作完結直後の95年12月に急性心不全のため49歳で亡くなっている。

 マンガを収録した単行本は2007年にチクマ秀版社から出版されたが、すでに絶版だ。

 ■中野晴行(なかの・はるゆき) 1954年生まれ。フリーライター。京都精華大学マンガ学部客員教授。和歌山大卒業後、銀行勤務を経て編集プロダクションを設立。1993年に『手塚治虫と路地裏のマンガたち』(筑摩書房)で単行本デビュー。『謎のマンガ家・酒井七馬伝』(同)で日本漫画家協会特別賞を受賞。著書多数。

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