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【元首相主治医が明かす 政治家と病】昔はがん闘病は公表されないのが“当たり前” 病を押して活動を続けた政治家たち (1/3ページ)

 安倍晋三前首相の病気退任について、思うところを述べてきた。日本の慣例では、政治家の病状は伏せられてきたので、今回は「逃げた」との批判はあったが、自ら公表されたことは一国民として納得いくものだった。私はそう思っている。

 総理は心身とも健康でなければならない。そうでないなら、潔くやめるべきだ。安倍氏の場合、身体よりもメンタルのほうが持たなかったのではないか。

 細川護煕氏が総理のとき主治医をしていた私は、万が一総理が健康を害した場合、ついポロッと病状をしゃべってしまわないかと心配だった。いくら隠そうと、必ず漏れるとも思った。なぜなら、重篤な病ならチームを組んで治療に当たるので、主治医以外に、各科の担当医師や看護師、検査技師、薬剤師、クラーク(医療補助スタッフ)、レセプトを処理する医事課の職員まで、ほぼ知ることになるからだ。

 医者には守秘義務があるとはいえ、相手は一番の公人。それに、民主国家である以上、国民には知る権利がある。そちらのほうが大事だ。

 政治家と医者の関係は本当に難しい。主治医が政治家の本当の病名を世間に明かした例は少ない。政治家のほうも、その周囲も、病状は徹底して隠してきた。

 昔は、がんの告知はタブーだったから、たとえ総理でも医者は告知せず、ほかの病名でごまかした。咽頭がんで死去した池田勇人元首相は、当初、がんだとは告げられなかったと聞く。

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