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【ドクター和のニッポン臨終図巻】俳優・斎藤洋介さん 「突然死」という言葉がしっくりくる (2/2ページ)

 斎藤さんは摘出手術後、再発を防ぐための放射線治療を始めたばかりでした。がんのステージは発表されていませんが、少なくとも、もう手の施しようがない末期の状態だったというわけではなさそうです。

 死の前日には、事務所の人と会って仕事の打ち合わせをし、当日、自宅で奥様と夕食を取った後に体調不良を訴えて、緊急搬送されましたが、搬送中に心肺停止となってしまいました。

 ですから、咽頭がんで亡くなったというよりも、どちらかといえば「突然死」という言葉の方がしっくりくるかもしれません。ご家族はもちろん、まだ60代だった斎藤さんご本人も、死についてシミュレーションする段階ではなかったはず。

 しかし、考え方によっては、直前まで家族と食事を楽しんでいるわけですから「がんだけどピンピンコロリ」とも言えます。このように、がん患者さんの最期といっても、その姿は実にさまざまです。終末期を過度に恐れるよりも、自然体で日々、小さな楽しみを見つけて笑って過ごしてほしいと願います。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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