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【食と健康 ホントの話】揚げ物のおいしさの科学と油を減らす調理法 (1/2ページ)

 家で食事をすることが多くなった昨今、天ぷらやフライなどの揚げ物を自宅で調理する人も増えたはず。今回は、揚げ物をおいしく食べる方法と、油をできるだけ減らす方法を科学的に追求したい。調理の科学に詳しい、宮城大学食産業学群の石川伸一教授に伺った。

 揚げ物のうち、天ぷらは食材(ネタ)に小麦粉を水で溶いた衣をつけたもの。そのネタを熱々の油に入れると、まず衣の水分が蒸発して、その代わりに衣の中に油が侵入していく。

 その次に、ネタの水分が蒸発して水蒸気になるが、衣に浸透した油が膜になって、ネタの水蒸気をそのまま中に閉じ込める。その熱い水蒸気によってネタが加熱されるが、ネタの水分は中に保たれるので、外側はカリッと、内はしっとりとした仕上がりになる、と言われている。

 「しかし、実際にこの油は衣のどこまで侵入しているのか。あるいは、揚げた後、寝かしている間に、油は中に移動するのか。揚げている間に油が染み込むのか。これらのことは、まだまだわかっていないことが多いのです」

 そこで石川教授の研究室で、天ぷらの油は天ぷらのどこまで浸透しているのか、という実験をしたところ、かなりの油は衣の表層だけにとどまっているということがわかったという。

 「また、揚げ物を置いておくと、しなっと柔らかくなります。その過程で油は移動しているのかどうかを、時間と温度を変えて観察してみると、ほとんど油の浸透には変化がない。つまり、天ぷらを揚げたのちに柔らかく、しなっとなるのは、油の移動ではなく水の移動が関与している可能性が考えられました」。天ぷらは「水と油の交換反応」と言われるように、天ぷらの表層では、水と油の交換が行われていることがわかっている。しかし、中の食材の水分の移動や、揚げている最中の食材中の水の空間的な移動などについては、ほとんど調べられていない、というのが、実際の調理学上の課題だそうだ。

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