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【コロナ禍のがん闘病記~ステージIVからの生還】標準治療の抗がん剤やり尽くし…「緩和ケア」も選択肢に (1/2ページ)

 緊急治療がうまくいってステージIVの肺がん患者、吉仲勇さん(68)=東京都江戸川区=は一命を取りとめた。娘への依頼は、「今度、病院来るときに、眉毛を書く道具を持ってきてくれないか」というものだった。

 長女の由紀さんは「えー、眉毛?」とちょっと拍子抜けしたものの、父が電話をかけられるほど元気になったことにうれしさがこみ上げてきた。

 男性でも眉毛は気になるものかと思うが、「看護師さんに眉毛のない顔を見られるのは恥ずかしいからさ」と由紀さんに話した。

 近年、抗がん剤治療を受けるがん患者のアピアランス(外見)にも注目が集まっている。アピアランスのケアを支援する施設も出てきている。抗がん剤治療の副作用で、頭髪だけでなく、眉毛も抜けることが多い。眉毛がなくなった外見を気にする患者も増えているという。

 由紀さんは眉毛を書く道具を持って、父が入院するがん研有明病院(江東区)へ。ただ、新型コロナの感染予防策で、由紀さんは病棟の中に入れず、許可を得て病棟の入り口で道具一式を手渡しするのが精いっぱい。父との会話も、「どう、元気になった?」「うん、大丈夫だよ」と短く話すにとどまった。

 「病は気から」といわれ、がん患者も気分を高めることは大切とされる。実際、笑いとがんの関係について真面目に研究が行われているほどだ。コロナ禍の入院で家族にもほとんど会えない吉仲さんにとって、それが眉毛書きだったのかもしれない。

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