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【コロナ禍のがん闘病記~ステージIVからの生還】“奇跡”のがん切除へトライ! 手術にそろった「5つの条件」 (1/2ページ)

 ついにめぐってきた手術のチャンスを拒否したステージIVの肺がん患者、吉仲勇さん(68)=東京都江戸川区。

 吉仲さんに限らず、がんと診断されると大きなショックを受け、“ないものねだり”の心理になる患者が少なくない。手術不能な進行した段階と診断されると、「何とか、がんを切除できないのか」と食い下がる患者もいるという。

 他方、手術可能ながんと告げられると、「体を切らなくて済む他の治療方法はないのか」と言う人がいる。体にメスが入ることを想像しただけで恐ろしくなり、そういう心境になるのだろう。吉仲さんも手術を避けようとした。

 そこに「私があなたの立場なら、手術にトライすると思いますよ」のひと言。がん研有明病院(江東区)呼吸器内科副部長・柳谷典子医師は「先生ならどうしますか」と聞かれ、こう答えた。ついに手術の決心がついた。

 吉仲さんは2016年に肺がんと診断。肺の左上葉の腫瘤が大きく増大。胸膜播種(はしゅ)があり縦隔や肺門リンパ節への転移も認められ、手術不能と判断された。

 今回のサルベージ(=救済)手術について、柳谷医師は吉仲さんには次の条件がそろったという。

 (1)当初の診断が手術不能である予後不良症例でありながら、治療開始からしばらく経過(約4年半)しているにもかかわらず全身状態が比較的良好に維持されている

 (2)化学療法が奏効して病変のほとんどが手術で切除可能な範囲に限局している

 (3)肺がん以外に重篤な既往歴がない

 (4)年齢が比較的若い

 (5)サルベージ手術の意味と限界を理解できる

 「70歳も近いのに手術の諸条件に適応したのはとても幸運でした」と長女の由紀さん。

 今年9月初め、約5時間にわたった手術は無事成功した。

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