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【BOOK】夫を失った妻と夫が嫌いな妻…2人の妻の「愛」と「孤独」 井上荒野さん『そこにはいない男たちについて』 (1/3ページ)

 愛する夫を失った実日子(みかこ)と、大嫌いな夫と暮らし続けるまり。いないのに「いる」夫と、いるのに「いない」夫。実日子とまり、いったいどちらが寂しいのだろう…? 人と人との間の微妙な綾の描写に定評のある井上荒野さんの近著は、性格も環境も異なる2人の女性が、夫婦とは何か、家族とは、愛とは、寂しさとは…を問いかける物語だ。(文・井上志津 写真・三原久明)

 --物語を思いついたきっかけは

 「今、私は59歳、夫は69歳で、2人とも健康なのですが、最近、夫が先に死んだらどうなるんだろうと考えるようになったんです。死んで夫と会えなくなるのと、大ゲンカをして別れたりして、もう二度と会わなくなるのと、どちらがつらいかな。あるいは相手が死んで失うことと、二度と会いたくないぐらい相手を嫌いになることは、どういうふうに違うんだろうと思ったのがきっかけです」

 --執筆は構想通りに進みましたか

 「夫を失った実日子は割とスムーズに書けましたが、夫が嫌いなまりはどうして夫と別れないんだろうと途中でかなり考えました。でも、そういう人っているなと思って。夫が嫌いだって言いながら、ずっと一緒に暮らしている人。それはある種の執着というか、本当に嫌いではないのだと思いました。そういう状況に陥るのが一番つらいんですけどね」

 --年齢を主人公2人とも38歳にしたのは

 「若くはないけれど、まだこれからいろんなことができる、少なくとも自分はそう思えることと、パートナーとの記憶もある程度積み重ねられる年齢ということで38にしました」

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