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【中原英臣 あの医療情報ウソ?ホント!】2020年ノーベル医学生理学賞は「C型肝炎ウイルス」発見の3氏に 現在ではキャリアの95%がウイルスを除去できるように

 2020年のノーベル医学生理学賞はアメリカのハーベイ・オルター博士とチャールズ・ライス博士、さらにイギリスのマイケル・ホートン博士がC型肝炎ウイルス発見の功績によって受賞しました。

 1960年代にはウイルス性肝炎を起こすウイルスはA型肝炎ウイルスとB型肝炎ウイルスが知られていましたが、1972年にアメリカ国立衛生研究所(NHI)のオルター博士がこれとは別に輸血によって起きる謎の肝炎があることを突き止め、医学的には「非A非B型肝炎」と呼ぶようになります。

 その後、1989年にアメリカの製薬会社カイロンのホートン博士が感染したチンパンジーの血液を利用してウイルスのクローンを作成し、このウイルスを「C型肝炎ウイルス」と名付けます。

 その後、1997年にワシントン大学セントルイス校のライス博士が遺伝子工学によって複製したC型肝炎ウイルスをチンパンジーの肝臓に注入し、ヒトの肝炎と同じ症状が起きることを確認します。

 C型肝炎ウイルスに感染しても、多くの場合あまり症状がでませんが、70%という高い確率でウイルスが排除されずに体内に残って慢性肝炎になります。C型肝炎が問題なのは慢性肝炎の状態が続くと、数十年後に肝硬変や肝臓がんになることです。

 今回ノーベル賞を受賞した3人の研究によって、C型肝炎ウイルスに対する血液検査が可能となり、さらにC型肝炎ウイルスに効果のある抗ウイルス剤が次々と開発されることになりました。

 その結果、現在ではC型肝炎ウイルスのキャリアの95%がウイルスを除去できるようになりました。毎年、世界中で40万人が亡くなっている患者さんの命を救うことができるようになったのです。

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