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【BOOK】文化を抹殺し情報・諜報で翻弄…中国が仕掛ける見えぬ「超限戦」 ペマ・ギャルポさん『中国は消防士のフリをした放火魔』 (1/4ページ)

 コロナ禍は国際政治にも影を落としている。チベット出身の政治学者で、拓殖大学教授のペマ・ギャルポさんは、あらゆる舞台が戦場となる「超限戦」の概念を土台に中国の覇権拡大に警鐘を鳴らし、日本人に対し、薄れつつある「国家観」「国益」意識の復活を喚起する。近著のセンセーショナルなタイトルが、中国の本質と、国際政治の力学を象徴している。 (文・海野慎介/写真・三尾郁恵)

 

 --武漢発とされるコロナが世界を混乱に導いた2020年。タイトルは現下の中国の動向を如実に示しています

 「第二次大戦以来、世界的に生命と経済をこれほど奪った例はなく、中国にはウイルスの隠蔽疑惑も持ち上がりました。せめて2月の旧正月『春節』前に対応すれば、犠牲も抑えられたでしょうし、責任は追及されるべきです。一方、中国はマスク外交や医療援助を展開し、火消し役のように恥ずかしげもなく振る舞います。オーストラリア政府が4月に調査団派遣を求めたのに対し、経済制裁を示唆するなど嫌がらせを受けました。混乱の渦中に、南シナ海や東シナ海への海洋進出、インド国境への侵入など火事場泥棒的な行動も目立ちます」

 --中国の戦略が憂慮されます。本書でいう「超限戦」の肝は何ですか

 「目にみえない戦争をしているということです。武力だけが暴力ではありません。力ずくで意のままにすることなら、貧困もある意味で暴力かもしれません。弱体化させるために相手の文化の抹殺、敵方の分裂や特定の政党を陥れる謀略も暴力です。海外の技術情報の漏洩(ろうえい)なども問題に持ち上がりますが、情報・諜報の手段を用いるなど『超限戦』の方が安上がりなのです」

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