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【食と健康 ホントの話】夜間頻尿を悪化させる「塩分」に注意…飲水量の増加と高血圧で悪影響 睡眠の質低下や高齢者の転倒・骨折リスク上昇に (2/2ページ)

 下肢に貯まった水分は、夜間、就寝して横になると心臓に戻される。そうすると、心臓は体内の水分量が多いと判断し、通常は睡眠のために排尿を抑える働きをするところを、逆に排尿を促す働きを高めて、体内の水分量が適正にしようと排尿を促してしまうのだ。

 琉球大学医学部システム生理学講座の宮里実教授は、「同じ2リットルを飲水しても、夜間頻尿の方はそうでない方より高齢であったり、下肢のむくみがあったり、腎機能障害、心機能低下などがあったりと、もともと体に水分が貯留している傾向があります。そのため2リットルの飲水が、さらに症状に拍車をかけることになる」と話す。

 その予防として、弾性ストッキングを履いて就寝することが、2020年4月に発表された『夜間頻尿ガイドライン』に記載されている。その他、午後から夕方にかけて、足を上げて30分ほど横になる「足上げ」や、夕方から夜間のウオーキングなどの「運動」が勧められるという。

 さらに、今回のガイドライン改定で行動療法に新しく追加されたのが「塩分」の制限だ。長崎大学病院泌尿器科病院講師の松尾朋博医師の研究によって、影響が明らかになったためだ。

 728人(男性499人、女性219人。平均62・6歳)を、高塩分摂食群(1日9・2グラム以上)と低塩分摂食群に分けて比較検討した。その結果、食塩摂取量が増えると夜間排尿量も増加。さらには高血圧とも相関することがわかった。

 塩分を多く摂ると、飲水量が増え、とくに夜間に多尿になる。そして、塩分の影響で引き起こされる高血圧も、夜間の多尿に影響を及ぼすという。高血圧の人はそうでない人よりも、日中に交感神経が優位になり、尿は多く作られない。そして副交感神経が優位になる夜間には尿が多く作られ、排尿量が増えるからだ。「そのため、水分とともに塩分も制限することが大切になってきます」(宮里教授)と話す。(医療ジャーナリスト・石井悦子)

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