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【BOOK】地下道や地下壕、トンネルは「時間を行き来できる装置」です 佐々木譲さん『図書館の子』 (1/3ページ)

 冒険小説、歴史小説、警察小説など、多ジャンルのエンターテインメント作品で知られる佐々木譲氏。新たな領域として踏み出した1冊はSF小説で、時の旅人(タイムトラベラー)たちをめぐる6つの物語集だ。どんな心境の変化があったのか、作品の舞台裏も含めて聞いた。(文・たからしげる/写真・近藤陽介)

 --SFをテーマにしようと思ったのは

 「わたしのSF読者歴は長く、特に時間ものSFが好きでした。このジャンルを書きたいとずっと願いつつも、なかなか媒体とめぐりあえませんでした。『小説宝石』さんが、この新ジャンルへの挑戦を受け入れてくれて、やっとこの連作を書くことができた次第です。SFの定義を少し越境した作品も多くなったな、とは思いますが」

 --収録作品の多くは、日本が太平洋戦争に突入していく時代、または終戦直後にかかわっていますね

 「わたしが、歴史の激動期、動乱期や、近代の戦争、革命といった歴史的局面に強い関心があるということが根本にあります。ほかのテーマの作品でも、これらを題材に選んで、多く書いてきました。SFというジャンルでも、この時代を題材にして書くことは自分にとって自然なことでした」

 --収録作品中の「地下廃駅」には、タイムトラベルの通路となる地下壕が描かれています

 「地下道や地下壕、トンネルは、SFの読者としては、時間を行き来できる装置です。機会があるごとに、そういう場所を取材し見学してきました。この作品は、京成線の博物館動物園駅(2004年、廃止)を見学できたことが大きい。中には入れませんでしたが、旧東京砲兵工廠の試射場(トンネル)入り口を探した体験なども執筆のきっかけになりました」

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