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【ドクター和のニッポン臨終図巻】免田栄さん、最期は孤独ではなかった “死刑台からの生還者”夫婦二人三脚で戦い (1/2ページ)

 「34年半の獄窓生活のなかで、私が手を握って死刑台に見送った人々は70人くらいだと思う。昨日も今日も、というときもあったし、1日に2人ということもあった。死刑台に多くの人を見送っての結論は、やはり死刑はあってはならぬ、いうこと。国家による殺人は、あまりにも残酷だ」

 1993年に公開されたドキュメンタリー映画『獄中の生』(小池征人監督)をご存じでしょうか。死刑制度とは何か、獄中生活とはどんなものかを、これほど赤裸々に綴った作品を私は他に知りません。誤認逮捕から34年半、死刑判決から31年7カ月。自白の強要、アリバイ潰し、暴力、強迫、ずさんな違法捜査。この人が諦めず闘ったことにより、私達は多くの現実を知ることができました。

 「死刑台からの生還者」。日本で初めて死刑から再審無罪となった免田栄さんが11月5日、福岡県大牟田市で亡くなりました。享年95。死因は老衰との発表です。わが国の平均寿命は男性81歳、女性87歳。誤認逮捕から死刑を宣告された人が平均寿命を超え天寿を全うしたと書けば、麗しい話に聞こえるかもしれません。しかし、拘留された23歳から釈放された57歳までの奪われた時間を想うと、大往生を寿ぐ前に涙が溢れます。ただ、免田さんがここまで長生きできたのは、妻・玉枝さんの存在があったからこそ。

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