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【ドクター和のニッポン臨終図巻】免田栄さん、最期は孤独ではなかった “死刑台からの生還者”夫婦二人三脚で戦い (2/2ページ)

 玉枝さんが免田栄さんと出会ったのは、再審無罪を勝ち取った年。家族や親族が大反対するなか、翌年には結婚を決めました。新婚当初は栄さんの精神状態も不安定で、「同情で俺と結婚をしたのか」などとなじられた日もあったといいます。しかし結婚生活を続けるうち、栄さんはどんどん穏やかになっていきました。

 おおらかな性格の玉枝さんは、心無い人からの嫌がらせや差別があっても、結婚を後悔したことはなく、夫婦二人三脚で死刑廃止運動を続けてこられました。栄さんは、どれほど心強かったことでしょうか。

 3年前から栄さんは歩行が困難となって、高齢者施設に入所。玉枝さんも同じ施設で暮らすことを決めたそうです。もしも施設に同居していなければ、コロナ禍で面会もままならず、夫の最期に立ち会えなかったかもしれません。長い間獄中で孤独と闘った栄さんが、最期は孤独でなかったことに安堵しました。亡くなる直前まで大好きなビールを口にされていたとか。「息苦しい様子もなく、今にも起きてきそうだった」と語る玉枝さんは、これからも死刑廃止運動を続ける決意を語っています。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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