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【BOOK】未知への憧れ…執筆も登山もさらなる高みへ コロナ禍を考える手がかりになれば 月村了衛さん『白日』 (1/4ページ)

 いまや“大河警察小説”となった『機龍警察』での衝撃のデビューから10年。月村了衛さんは、時代小説からクライムノベルなど幅広いジャンルの作品を次々発表。新刊は教育と会社組織がテーマだ。自らの執筆活動を好きな登山にもなぞらえ、語ったこととは。 (文・竹縄昌 写真・三尾郁恵)

 

 --執筆のきっかけは

 「依頼はだいぶ前からありました。その間に書いた『欺す衆生』は登場人物が極端に少ない作品であるにもかかわらず、むしろその方が登場人物を掘り下げられるという手応えを感じました。そこで『白日』もその方向でやってみようと思いました。打ち合わせの中で、会社の思惑と現場の意識の違いを痛感させる体験話が出て、それは面白い、書きたいと思ったんです」

 --教育産業を取り上げたのは

 「打ち合わせでいいアイデアが出ても、私の技量で書けないものでは仕方がない。人の意見を聞きながら、こういう形にすれば作品に取り込めると、即座に自分の頭が反応するんです。そうしたものをすくい取りながら、結果的に教育産業がいいんじゃないかということになったんです」

 --主人公の秋吉は最初は普通の勤め人というイメージでした

 「私の最近の作品では、主人公の属性がどんどん“普通の人”になっていっています。『白日』に至っては、家庭を持っている平凡な、ほんとうに普通の父親。普通になればなるほどこの主人公は良かったと言われることが増えてきた感じがします。普通を心がけることで主人公がかえって魅力的になる。そこが小説のおもしろさですね。また、ほかの登場人物の造形も、自分が生きてきた中で出会った人が思わぬところで出てくることがまれにあるんです。これまでの作品もそうでしたが、本作ではとくに多かったですね」

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