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【zak女の雄叫び】冬の渡来者 (1/2ページ)

 毎年この時期になると、鹿児島県では北の国からツルの大群が渡来してくる。出水平野を有する出水市は国内最大のツルの越冬地として知られる。出水への渡来は10月頃から始まり、12月、1月に最も数が多くなる。2月に入る頃、ツルはまた北帰行を始める。

 この冬の風物詩、今年はちょっとした話題になった。毎年地元の中学生らがツルを数える「羽数調査」を行っているのだが、半世紀以上前から続く調査で、今年12月5日に過去最高の1万7315羽を記録した。23年連続で1万羽を超えている。

 なぜツルは出水へ来るのか。同市ツル博物館の原口優子学芸員は20年近く出水でツルの調査をしてきた。「はっきりした理由はわかりませんが、ツルのためにエサ・寝床・安全を確保してあることなどが挙げられます」という。

 原口さんは博物館に展示されている、トキ・水牛・人が写されたモノクロ写真を指して話した。かつて各地で渡り鳥と人は共生していたが、水田地帯などで宅地開発が進み越冬地が激減。戦後食料がない中、渡り鳥による田畑への食害は深刻だった。「人とツル、どちらをとるのか」といわれていたときもあったが、同市はねぐらの設置や餌をまくなどして共生することを選んだ。

 日本各地からツルは離れていったが、出水には残った。こうした理由のひとつに、中学生による羽数調査があると原口さんは話す。