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【ドクター和のニッポン臨終図巻】なかにし礼さん「痛くて眠れない。しかしそんなことはすべてどうでもいい」 人生苦しいのも痛いのも生きているから (1/2ページ)

 謹賀新年。この年末年始、休む間もなく往診に明け暮れました。人の命を奪うものは新型コロナウイルスしかないようなメディアの煽り方に医療現場も混乱しています。本稿を書いている1月3日時点で、我が国におけるコロナの累計感染者は約23万8000人、累計死亡者は約3500人、累計回復者は19万6000人。

 一方、昨年の我が国のがん罹患(りかん)数は約101万人、がん死亡者は約38万人。心疾患死亡者は約20万5000人。だからコロナは怖くない、と言いたいのではありません。私達はコロナ以外で死ぬ可能性のほうが何百倍も高く、死は、変わらぬ日常です。そんなことを考えながら往診の途中で見た紅白歌合戦。氷川きよしさんが熱唱した『母』という曲が耳に残っています。

 〈世界を敵に回しても 私はお前の味方だと 涙で誓ってくれた人〉

 死は日常だけど、大好きな母の命は永遠であってくれ。涙を誘う歌詞が、この人の遺作となりました。

 作詞家、作家のなかにし礼さんが昨年12月23日に都内の病院で亡くなりました。享年82。死因は心筋梗塞との発表です。なかにしさんは、2012年に食道がんで余命8カ月と判明。しかし若い頃から心臓に疾患があったため外科手術に耐えられないと判断、陽子線治療を選択し、見事寛解となりました。

 陽子線治療とは放射線治療の一つです。エックス線を使用する従来の放射線治療よりも、治療効果が高く副作用も少ないため、昨今注目されています。しかし巨大な装置と施設が必要で、まだ限られた医療機関でしか行えず、保険適応にならないケースが多いのが難点です。

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