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【BOOK】横浜の老娼婦・ハマのメリーさんの冷たい手から「私を忘れないで」 メッセージ伝え続けて四半世紀 五大路子さん『Rosa 横浜ローザ、25年目の手紙』 (1/3ページ)

 横浜の老娼婦「ハマのメリーさん」をモデルにした一人芝居「横浜ローザ」を1996年から演じている女優、五大路子さん。四半世紀の歩みを『Rosa 横浜ローザ、25年目の手紙』にまとめた。 文・井上志津/写真・酒巻俊介

 --メリーさんに初めて会ったのは

 「1991年5月、横浜開港記念みなと祭の審査員として、ホテルニューグランド前に設けられた席に座っていたとき、歌舞伎役者のような白塗りの顔に純白のドレスを身に付けたメリーさんがビルの前に立っているのを見かけました。見つめていたら、視線が合い、『あなた、私をどう思うの。私の生きてきた今までをどう思うの』と聞かれた気がしたんです。彼女のことが知りたくなって、取材を始めました」

 --五大さんは当時38歳。前の年、右膝が突然動かなくなって舞台を降板するという出来事がありましたね

 「でも、私がいなくても当然のことながら舞台の幕は上がり、自分は金太郎飴の一つにすぎないことを思い知らされました。だから、足が治ったら、自分にしかできない表現をしたいと思っていました。メリーさんを見かけたのは、約1年間の闘病を経て、やっと歩けるようになり、自分はなぜ女優をするのだろうと自問していた時期でしたから、余計、彼女の声が聞こえた気がしたのだと思います」

 --当初から芝居にしようと思ったのですか

 「最初はただ知りたいという気持ちだけでした。メリーさんは女性とは話をしなかったので、彼女を知っている人たちに話を聞きました。『あの大きなバッグには大金が入っているんだって』『高貴な生まれだそうだよ』……などいろんな噂がありましたが、みんな、彼女の本当の人生については知りません。ただ、この街では誰もが彼女を知っていて、横浜の風景の記憶の中にメリーさんがいました。メリーさんを語ることは横浜を語ることなのだと感じ、横浜を舞台にメリーさんのことをお芝居にしたいと思うようになりました」

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