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【BOOK】横浜の老娼婦・ハマのメリーさんの冷たい手から「私を忘れないで」 メッセージ伝え続けて四半世紀 五大路子さん『Rosa 横浜ローザ、25年目の手紙』 (2/3ページ)

 「でも取材をしても、メリーさんの人生についてはほとんど分かりませんでした。そのうち、脚本家の杉山義法さんが『メリーさんの後ろにいるたくさんの日本の戦後を生きた女たちの戦後史を書きたい』とおっしゃって、完成したのが『横浜ローザ』です」

 --一度だけ、メリーさんとお話ししたことがあるそうですね

 「95年に『メリーさんをモデルにした芝居を上演させてほしい』と、どうしても伝えたくて、友人でシャンソン歌手の永登元次郎さんに仲立ちをお願いしました。『メリーさんのことをお芝居にしたいそうですよ』と元次郎さんが言ったら、『ああ、そう』と高い声で私に手を差し伸べて、握手してくれました。すごく小さくて、ぷかぷかして、氷みたいに冷たい手でした。その冷たさが私の血液の中にドクッ、ドクッと入り込んできて、『私を忘れないで』と言っている気がしたんです。それを感じた以上、私は彼女のメッセージを次の人に伝えなければいけないと思いました」

 --今年で25周年を迎えます

 「メリーさんも杉山先生も元次郎さんも亡くなりましたが、『横浜ローザ』は不思議な舞台で、今も毎回、ローザを探し、見つめ直す舞台になっています。毎年観に来てくださるお客さまは『今年もローザに会いに来ました』っておっしゃるんですよ。なぜ、『ローザを観に来る』ではなくて『会いに来る』なのか、それは毎年、その年を生きた、その方のまなざしによって、ローザが違うからなのだと思います。ローザが『私はいったい誰なのかしらね…』と自分自身に問いかけるセリフがあるんです。『あなたは今をどう生きているの』と問われているようで、私も毎回、考えさせられています」

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