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【BOOK】「体の性と心の性がずれているのが性同一性障害」は大雑把な定義 人が真実に至る妨げだと思う 赤坂真理さん『愛と性と存在のはなし』 (2/3ページ)

 --新書化にあたり、大幅に加筆されたそうですが、どういう点を主に書き加えましたか

 「積み残しになったところです。5章と終章は、連載終了後にひとまとめに書いたもので、『トランスジェンダーを救う』という仮タイトルがついていました。ただ、あんなに書くとは思っていませんでした。書けたのは、対話者であるトランスジェンダーの友人Mの、たぐいまれな正直さがあってのものでした」

 --Mさんは元は男性で、男性に抱かれるファンタジーを持っていましたが、恋愛対象は女性。現在はホルモン投与による女性への性転換をしていますが、レズビアンでもないという複雑さです

 「それまで時間をかけて話してきたことが、締め切り土壇場の延べ1カ月ぐらいの間に花開いたという感じでした。それは私が聞いたことのある、どんな話とも違っていて、リアルでした。これがリアルであるなら、『体の性と心の性がずれているのが性同一性障害』という世の定義のほうが大雑把すぎるのです。大雑把すぎることが信じられているのは、人が真実に至る妨げだと思います。そのことがあって、このやりとりはどうしても世に問わなければいけないことだと思いました。1週間で100枚ぐらい、ばーっと書きました」

 --Mさんは本書を読んで何と言っていましたか

 「『救われた。この本を墓場まで持って行く』と」

 --《いつか誰もが本当の話ができるようになったら、この世はもっと豊かで思いやりにあふれるだろう》と書かれています。誰もが本当の話ができるには何が必要でしょう

 「安全な場所です。きわめて自殺率の高い薬物依存症という病気だったMは『生き残るのはどんな人か?』という私の問いに、『どこかで打ち明けられた人』と言いました。しかし、それは自分の最も恥じている、隠しているような部分なのです。それを言って、何の批判も説教もされず、ただ無条件に受け入れられることが必要です」

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