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【ドクター和のニッポン臨終図巻】俳優・峰さを理さん 「今検査に行ったら迷惑」と一瞬でも考えたのなら…患者は医療に遠慮は禁物 (1/2ページ)

 僕の地元、兵庫県が誇れるものはいくつもありますが、宝塚大劇場の存在は、その筆頭だと言えるでしょう。私が診ている患者さんにも親子三代にわたって熱狂的なファンという家庭も珍しくありません。そんなお家に今日往診に伺ったら、この方の突然の訃報に打ちひしがれていました…。

 元宝塚歌劇星組の男役として人気を博した、俳優の峰さを理さんが、1月30日に東京都内の病院で亡くなられました。享年68。死因は、甲状腺の未分化がんとの発表です。

 甲状腺とは首の前側、咽仏の下あたりにある内分泌腺(ホルモンを分泌する臓器)です。ここから分泌される甲状腺ホルモンは、エネルギー代謝、自律神経や体温や脈拍の調節、はたまた脳の働きにも深く関与するなど、生命の維持のために大切な役割を担っています。

 甲状腺の腫大を指摘されたことがある人は多くいるでしょう。バセドウ病や橋本病は有名です。しかし、甲状腺がんになる人はそう多くはなく、年間では人口10万人あたり12~13人で、比較的若い女性に多いのが特徴です。

 甲状腺がんにはいくつかのタイプがあります。9割の人は、乳頭がんと呼ばれるもので、進行が遅く、命にかかわることは、ほとんどありません。がんと診断されても治療はせずに、経過観察のみで天寿を全うされる方も多くおられます。一方、「未分化がん」と診断された場合、事情は180度違ってきます。

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