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【BOOK】社会のタブーにも斬り込み、時代という悪を問いかける 呉勝浩さん『おれたちの歌をうたえ』 (3/3ページ)

 ■少しずつ振り分けて登場人物に自身投影

 --登場人物には自身がかなり投影されている

 「基本的にはそう思います。登場人物に少しずつ、振り分けるといった感じでしょうか。僕は感情を優先するタイプ。自分とはまったく違う振る舞いや価値観を出すことはできません。今のところ自分の感情にないものは書けないのです」

 --では今後、自身の体験を投影した恋愛小説などいかがでしょう

 「それだけはないでしょうね。ブラック・コメディーになってしまいますから(苦笑)」

 --まもなく40代

 「周りからは『体力が落ちるぞ』なんて脅されていますが、この10年で、『これぞ』という作品を書きたい。そう意気込んでいます」

 ■『おれたちの歌をうたえ』

 長野県で育った幼なじみ5人組は昭和の時代に、指名手配中の過激派を見つける手柄を上げ、“栄光の5人組”と呼ばれた。今や還暦間近となった彼らの1人が変死したことをきっかけにして「過去の事件」が蘇ってゆく。殺された美人のお姉さん、そして浮かびあがる闇。その先に希望はあるのか…。注目のミステリー作家による意欲作。

 ■呉勝浩(ご・かつひろ) 1981年、青森県出身。39歳。大阪芸術大学映像学科卒。2015年『道徳の時間』で江戸川乱歩賞を受賞し、作家デビュー。18年『白い衝動』で大藪春彦賞。20年『スワン』で吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞受賞。直木賞の候補にもなった。他の主な著書に『ライオン・ブルー』『マトリョーシカ・ブラッド』など。

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