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【ドクター和のニッポン臨終図巻】絵本作家・安野光雅さん 人生の最後に残った「誇り」 (1/2ページ)

 在宅医というと高齢の人ばかりを診ているように思われがちですが、僕の在宅患者さんには、赤ちゃんや子供ちゃん(関西では子供に「ちゃん」をつけます)もいます。コロナ禍のため外で遊べない分、絵本を読んでいる子もいます。絵本を通して、世界中を旅しているのです。

 『旅の絵本』などで知られる世界的な絵本作家の安野光雅さんが、昨年12月24日に亡くなられました。享年94。死因は、肝硬変との発表です。

 肝硬変とはその名の通り、肝臓という人体最大の臓器の線維が増えて硬くなり、機能が低下した病態です。わが国の患者数は40万~50万人で、年間の死亡者数は約1万7000人ですが、肝硬変から肝臓がんに移行して亡くなる人がたくさんおられます。

 B型およびC型肝炎ウイルスによる肝炎、または長期にわたる飲酒からなるアルコール性肝炎や、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が、徐々に進行した最終形が肝硬変です。まれに免疫異常による肝硬変の人もいます。以前はウイルス性の人が圧倒的でしたが、昨今は非ウイルス性の肝硬変症が増えてきています。肝硬変は悪性病変ではありませんが、がんと同じくらい予後があまり良くない病気です。

 「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓。肝硬変の前半ならほとんど症状がみられません。しかし倦怠(けんたい)感、むくみ、黄疸(おうだん)などよく知られる症状が出る頃には、肝硬変はかなり進行しています。足がよくつったり、こむら返りに悩む人は一度、肝臓の検査を受けてください。

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