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【BOOK】時代劇は現代を仮託…悲惨なこともワンクッション置けるのがいいところ 直木賞受賞・西條奈加さん『心淋し川』 (3/3ページ)

 ■『心淋し川』(集英社 1600円+税)

 江戸・千駄木町の一角、「心町(うらまち)」と呼ばれる町の小さな川が心淋し川。川沿いには立ち腐れたような長屋が並ぶ。川の流れは淀み、時に悪臭を放つが、住人はそれに己の人生を重ねる。しかし、店子たちはだれもが夢や恋に破れ、傷つきながらも懸命に生き、一瞬の光を放っていた。長屋を差配する茂十(もじゅう)の優しさが彼らの救いだ。そしてその茂十も実は…。「心淋し川」「閨仏(ねやぼとけ)」「はじめましょ」「冬虫夏草」「明けぬ里」「灰の男」の6編を加筆修正。(初出「小説すばる」2018年7月号から主に2カ月おき連載)

 ■西條奈加(さいじょう・なか) 作家 1964年北海道生まれ。56歳。作家。高校卒業後、一時会社員生活を送るが、翻訳家を目指して東京の翻訳専門学校に入学。卒業後も、東京で就職。その一方で、作家を目指す。2005年『金春屋ゴメス』で第17回「日本ファンタジーノベル大賞」を受賞しデビュー。SFと時代劇の融合だったが、以降、時代劇の依頼があり、主に時代ものを執筆。12年『涅槃の雪』(11年発表)で中山義秀文学賞受賞。15年『まるまるの毬』(14年発表)で第36回吉川英治文学新人賞を受賞。21年第164回直木賞受賞。他の作品にシリーズ物の『善人長屋』など多数。また、アニメファンでもある。

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