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【BOOK】行き先縛られず…気楽にスルスル、ふらふら 表題作は普段の自分の素が出ています 保坂和志さん『猫がこなくなった』 (2/3ページ)

 ◆猫の全部が好き

 --昨年はデビュー30周年でした。振り返っていかがですか

 「最初の10年ぐらいは大変でした。次の小説はどうするかということだけを絶えず考えていました。自分の感触を信じてやるしかない。いかに自分を信じるか、その自分を信じるための根拠や空間をどう作っていけばいいのかということをずっと考えていました」

 --どうやって自分の空間を作れたのですか

 「それは勉強するしかないんですよ。本を読んだり、映画を観たり。勉強と言うと、わざわざ勉強しているみたいだけど、野球選手は試合の後、家に帰ってまた2時間も3時間もバットを振りますよね。それと同じ、日々の努力です」

 --2年前からトークイベント「小説的思考塾」を開いています。『書きあぐねている人のための小説入門』なども出されていますね

 「小説と書いてありますが、対象者は何かを自分で表現したい人です。実際、塾には音楽家やデザイナー、落語家なども来ていますね。僕はみんなに『評論家』ではなくて自分で何かをやる人になってほしいんです」

 ◆「小説的思考塾」を始めた頃はトーク芸人を目指していた 

 --今後、トライしたいことはありますか

 「『小説的思考塾』を始めた頃はトーク芸人を目指していたんですよ。副収入にしようと(笑)。コロナ禍で休んでいましたが、先月再開したので、また定期的に続けていきたいと思っています。人前で話すのは平気。文章って、書く方も読む方も身構えるでしょう。僕の書いていることは難しい部分が出るときもあるから、本人がしゃべった方が伝わりやすいなと思うんです」

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