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【BOOK】行き先縛られず…気楽にスルスル、ふらふら 表題作は普段の自分の素が出ています 保坂和志さん『猫がこなくなった』 (3/3ページ)

 --『未明の闘争』から「てにをは」をわざと変えているのはなぜですか

 「静かに本を読むのって、僕の書き方やしゃべり方とそぐわない。読む人を居心地悪くさせれば、『え?』と体を動かしてくれるのではと考えたからです」

 --でも、だんだん慣れて居心地良くなってきました

 「いいです(笑)。退屈しなければいいんですよ」

 --他の追随を許さない「猫愛」で有名です。猫のどんなところが好きですか

 「全部。可愛いところ。『ねえ、あなた、私のどこが好きなの?』『全部だよう』というのと同じですよ」

 ■『猫がこなくなった』 文藝春秋 1700円+税

 猫好きの友人、高平君がうちに来て、涙ながらにいなくなった猫レディの話を始めた。聞けば聞くほど私が外で世話していたキャシーにそっくりだった。ついに1カ月経ったところで高平君は、迷い猫のポスターを貼りだした。レディはきっと帰ってくる、キャシーもそうだ。果たして高平君のレディは見つかるか? 表題作「猫がこなくなった」をはじめ、「命において死は生きるのと並行して在りつづける」ことを証明する9つの短篇小説。

 ■保坂和志(ほさか・かずし) 1956年山梨県生まれ。64歳。早稲田大学政経学部卒業。90年『プレーンソング』でデビュー。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾(いき)』で芥川賞、97年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞、2013年『未明の闘争』で野間文芸賞、18年『ハレルヤ』所収の「こことよそ」で川端康成文学賞を受賞。他の著書に『カンバセイション・ピース』『カフカ式練習帳』『読書実録』など。

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