記事詳細

【あきらめない肝臓がん】90代でC型肝炎から発症→1年で巨大ながんが消えた 最初に分子標的薬を投与、次に動脈化学塞栓療法 (1/2ページ)

 肝臓がんは東日本よりも西日本の方が多いともいわれている。その西日本のある町で暮らしていた佐藤シゲ子さん(仮名)に衝撃が走ったのは2019年。90歳を超えて肝臓がんが見つかったのだ。佐藤さんは生きることをあきらめず、治療に挑んだ。

 きっかけは、地域の病院で「すごい大きながんがある」と診断されたことだ。近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)の工藤正俊主任教授(消化器内科学)を紹介された。

 画像検査では肝臓に12センチもあるがんが確認された。

 「従来なら、動脈化学塞栓療法(TACE)をまず行うところですが、高齢ということもあり、TACEを単独で先行させる治療の効果は期待できません。TACEを繰り返すと、肝機能が低下し、全身の状態も悪化する恐れがありました」(工藤教授)

 そこで提案されたのは、最初に分子標的薬「レンバチニブ」を投与する「LEN-TACEシークエンシャル療法」だった。工藤教授が世界に先駆けて考案した治療方法だ。

 その効果は驚くばかりだった。

 「CT(コンピューター断層撮影)検査をするたびに、がんがみるみる小さくなり壊死(えし)していきました。レンバチニブがよく効き、残っていた腫瘍辺縁(周囲)のごく微小のがんもTACEでとどめを刺しました。治療を始めて約1年後にはがんは画像から消えました」

 工藤教授はそう振り返る。

 国内では年間約4万人が肝臓がんと診断される。早期で見つかれば、根治を目指した手術が可能となる。しかし、“沈黙の臓器”ゆえ、痛みなどの自覚症状がほとんどないため、中等度の進行がんで発見されるケースが多い。

関連ニュース