記事詳細

【暗黒大陸を照らす光 膵臓がん治療最前線】電流でがんを死滅させる「ナノナイフ治療」 3年生存率37%“根治”も現実味 (2/2ページ)

 ナノナイフ治療前後の1カ月間は休薬する必要があるものの、身体への負担が少なく、標準治療である化学療法を継続できることが、手術との違いだ。

 2016年4月~19年3月の3年間でナノナイフ治療を実施した患者125人の全生存期間の中央値は27・8カ月。3年生存率は37%、4年生存率は16・5%だった。化学療法のみの生存期間の中央値は約1年、3年生存率はほぼゼロだ。それと比べると長期延命効果は明らかであり、根治の目安となる5年生存も現実味を帯びている。

 ナノナイフへのポテンシャルは物理的ながん細胞の縮小・消失だけではない。治療によって残ったがん細胞の死骸からがんの抗原を認識して免疫反応が起きやすいことがわかっている。「この免疫反応を利用した全身治療を開発することにより、より多くの治癒例が得られるかもしれません」と森安医師は期待する。

 ただし、ネックとなるのは自費診療であり、200万円以上の自己負担が必要。1日も早く保険診療として承認され、適応患者が幅広く受けられるようになることを願う。 (取材・吉澤隆弘)

関連ニュース