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【ドクター和のニッポン臨終図巻】俳優・田中邦衛さん…“五郎さん”は私たちの記憶の中で生涯現役 (2/2ページ)

 後期高齢者となっても、役を演じられるということがどれほどスゴイことか…私は先日、縁あってあるヤクザ映画にチョイ役で出演させてもらいましたが、たった一言の台詞が本番になるとどうしても出て来ずに、何度もNGを出しました。還暦を過ぎるとはこういうことなのだと実感しました。だからこそ、70代、80代の役者さんには本当に頭が下がります。

 さて、この4月1日より「改正高年齢者雇用安定法」が施行されました。70歳まで働き続けることができるよう、就業機会を確保することが企業の努力義務となったのです。確かに今の70代は若々しい人が多く、高齢者とは呼べない人ばかり。しかし、老い方は人それぞれ。生き甲斐として働きたい人が働ける環境づくりは大いに結構ですが、「働かざる高齢者は食うべからず」といった空気が、この法改正によって社会に蔓延(まんえん)しないだろうかと少々不安です。

 厚生労働省の発表によれば、日本人の平均寿命は、男性が81歳で、女性が87歳(19年)。しかし、介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる「健康寿命」は、男性72歳、女性74歳。生涯現役で死ぬ人は、意外に少ないことがわかります。

 田中さんも70代でリタイアしました。しかし、五郎さんは私たちの記憶の中で生涯現役です。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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