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【BOOK】「男と女」「東京と地方」「スポーツカーと軽トラ」認識のギャップが面白くて 免許を持たない著者が「クルマ」を“料理”してみたら…篠田節子さん『田舎のポルシェ』 (3/3ページ)

 --1年以上も続く新型コロナ禍。どう過ごしていましたか

 「最近は少し状況も変わりましたが、(小説の)取材に行けないのが一番、困りましたね。ほとんどは自宅にいて、取材は本やネットに頼っていました。先が見えないのが辛いですが、現代小説の作家としては、コロナだけでなく、災害や紛争など、世の中が大きく変わる時代・社会と向き合い、後世に残してゆきたいと思っています」

 --常に違う素材を探す作者の次の作品は

 「今、書いているのは、おばちゃんが水泳のマスターズ大会出場を目指す物語。それを書くためというわけでもないのですが、毎週、スイミングクラブに通って泳いでいます。話を聞いたり、見たりするだけでは書けないような感覚が分かる気がするからです」

 ■『田舎のポルシェ』(文芸春秋)1760円

 ふとしたことで岐阜-東京間を軽トラックに同乗することになった、もう若いとは言えない男女2人。私生活はちょっとワケあり。どちらもパッとしない。田舎のヤンキーみたいな外見の大男は東京に別れた妻子を残し、岐阜で博物館の学芸員をしている女は、家族が亡くなり、田んぼが東京に残った。軽トラのエンジンをキシませながら高速をブッ飛ばすうちに、まるで共通項がなかった2人の「日常」にめくるめく変化が訪れてゆく(表題作「田舎のポルシェ」)。「クルマ」を素材にしたロードノベルの連作。

 ■篠田節子(しのだ・せつこ) 1955年10月23日生まれ、65歳。東京都出身。東京学芸大卒。八王子市役所勤務を経て、90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。97年『女たちのジハード』で直木賞受賞。2015年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞。20年、紫綬褒章受章。ホラー、ミステリー、恋愛、介護、経済、宗教など多彩なジャンルで活躍。趣味は水泳など。

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