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【罹患率1位 大腸がん予防最前線】低用量アスピリンで腺腫6割抑制 8カ月服用、がん化を阻止 (2/3ページ)

 こう説明するのは、京都府立医科大学大学院医学研究科分子標的予防医学の武藤倫弘教授。長年、低用量アスピリンなどによる大腸がん予防の研究を行っている。

 アスピリンは、120年以上も前に解熱鎮痛薬として発売された。1日100ミリグラムの低用量のアスピリンは、心筋梗塞や脳梗塞などを発症した人に対し、血栓をできにくくする抗血小板剤としても処方されている。約30年前にはアスピリンの長期服用で、「大腸がんの致死リスクが40%程度減少する」と海外で報告された。以来、大腸がん予防としてのアスピリン研究が進められている。

 「アスピリンの大腸がん予防のメカニズムは複雑です。抗炎症作用が、がん細胞が死を回避しようとする伝達回路を阻害する、あるいは、がん細胞が増殖するときの因子を阻害するとも考えられています。いずれにしても、腺腫ががん化するのを防ぐ作用があるのです」

 家族性大腸腺腫症は、腺腫が100個以上と多発し、60歳頃までにはほぼ100%大腸がんを発症する。標準治療は20歳頃の大腸全摘術のみで、大腸を全て切除すれば大腸がん予防につながる。とはいえ、大腸の除去は、患者にとって負担が重い。そこで低用量アスピリンでの大腸がん予防の研究が進められている。8カ月の服用で、腺腫の増大リスクが約6割下がったという。

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