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【BOOK】「100万回の墓参りより、本を書くことで思い出したことがいい供養に」 毒蝮三太夫さん『たぬきババアとゴリおやじ 俺とおやじとおふくろの昭和物語』 (2/3ページ)

 --親友の立川談志さんにも触れています

 「オレが『ウルトラマン』でアラシ隊員として怪獣を退治していた頃、座布団運びで『笑点』に引きずり込んだ談志が、オレの本名(石井伊吉)から毒蝮(三太夫)にしなかったら、こんな生き方はできなかったんじゃないか。役者以外の仕事が多くなっちゃったんだから。この本だって、毒蝮の親がたぬきとゴリラから生まれた動物一家だから面白いんだろ」

 「談志に『お前の親を見ているとお前が上品に見える』と言われたことがあるんだけれど、オレの毒舌は談志に比べたら子供の悪たれ口ぐらい可愛い。ギリギリの毒舌で、さじ加減が塩梅できるのはたぬきババアとゴリおやじのおかげですよ。おふくろが『蛇は脱皮するけれど、人間が脱皮するのは珍しい』って言ってたけど、毒蝮という名前が背中を押して転がされてしまったようなもの。オレは毒蝮三太夫の役を生涯演じていくんじゃないの」

 --その改名を妻は知らなかった

 「当時、百貨店に勤めていたカミさんは出勤中で『笑点』を見られないからね。半年後に同僚から言われて初めて知ったんだ。『貴方が決めたことに反対すると思っていたの?』って言われて、カミさんは一枚上手だと思いましたよ。20年前かな。余った年賀状をカミさんあてに出したら結構喜んでくれてね。今でも月に1、2回くらいは感謝のはがきを出してるよ。ポストに入れて郵便受けに届かなきゃ意味がないんだよね。オレが出したはがきはリビングの冷蔵庫に貼ってあるよ」

 --“マムシ節”誕生の秘話も

 「ラジオの『ミュージックプレゼント』は50年以上も続いていて、最初の2、3年は普通にしゃべっていたと思うけど、そのうちオレの言葉でしゃべり始めたんだ。おふくろがあの世に旅立ったあとの中継のとき、おやじがおふくろに対しての口癖『ババア』っていうのを覚えていたんだろうな。知らないうちに口が動いていた。オレが言う『ジジイ、ババア』が許されるのは本音で暮らしていたおやじとおふくろに育てられたからだと思うよ。オレとしては『汚っねえババア』『くたばり損ないのジジイ』っていうのは尊称なんだよ」

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