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【ドクター和のニッポン臨終図巻】歌舞伎俳優・片岡秀太郎さん 最期まで自宅で療養、良い在宅医との出会いで穏やかに (2/2ページ)

 「年のせいだろう」と考える人が多いのですが、心あたりのある人はぜひ1度、肺のCTや肺機能検査を受けてください。COPDの人がコロナに感染した時は重症化する可能性があります。「基礎疾患がない」と言われている人の中にも実は隠れCOPDの人が多くいることを日々の診療で実感しています。

 また、COPDの人は一般に在宅で看取るのが難しい、と思われています。この病態は終末期の見極めが難しいからです。急変時の対応スキルが貧弱な在宅医が診た場合、「ウチでは診られません」と救急車を要請するケースも少なくありません。

 しかし、在宅酸素療法や在宅緩和ケアに熟練した医師であれば、住み慣れた自宅で最期まで過ごすことが十分可能です。片岡さんも、きっと相性が良い在宅医との出会いがあったので、最期まで穏やかに自宅で過ごすことができたと推測します。

 片岡さんは、2019年に人間国宝に認定されました。上方歌舞伎を衰退させまいと、次世代の育成にも力を注がれました。

 このコロナ禍で、伝統芸能の世界も大変な損失を被っていることでしょう。芸術は、不要不急ではありません。片岡さんも出演予定だったという大阪松竹座の「七月大歌舞伎」。関西人のひとりとしてご盛会をお祈りしています。負けるな! 関西。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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