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【ノンフィクションで振り返る戦後史】アチャラカ、森繁病…戦後期の笑いを批評 1971年を描く 中原弓彦「日本の喜劇人」(晶文社) (1/2ページ)

 私が中学生の頃、土曜夜10時半になると父親は必ず東京12チャンネル(現・テレビ東京)をつけた。藤田まことが仕切る「夜の大作戦」を観るためだ。

 由利徹や、若手ではレツゴー三匹などが登場する関西版のコメディー番組。「てなもんや」シリーズが終わって「必殺仕置人」に出る以前の藤田も、脱線トリオでデビュー後長年経っていた由利も当時のテレビの第一線ではない。10代の少年には、由利がコントの中で股を開き繰り出すギャグ「オシャマンベ!」も含め、あの頃大ブームだった「8時だョ!全員集合」に比べるとマイナーに感じられた。

 しかし中原弓彦(小林信彦)は「日本の喜劇人」で、これこそアチャラカの見本と述べ、1971年8月の番組の模様をスケッチする。

 その日は「君の名は」がネタで由利が中折れ帽をかぶる大二枚目(春樹)として登場。空襲下で女優・桑原幸子が演じる真知子と出会う。数年後の再会では佐山俊二が真知子に扮して現れる。由利は驚いて逃げようとし、藤田にメガホンで殴られる。由利の「でも、あんなになっちゃった」に、藤田は「二枚目ってのは耐えるもの」と諭す。この直前、佐山が登場する場面では、藤田が「ええ、このおばんに食券を上げてください」とおちゃらける。

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