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【BOOK】挑戦こそ“活力源” 今の若者は安定志向…それは国の勢いの無さの象徴 アルピニスト・野口健さん (1/3ページ)

 8000メートル超のヒマラヤの高山では一瞬の判断ミスが死につながってしまう。世界的なアルピニスト、野口健さんも常にその恐怖と闘い続けてきた。それでも登り続けるのは何のためか? とかく安定志向になりがちなイマドキの若者たちへ贈るエールの1冊。 文・梓勇生/写真・飯田英男

 --生か死か、進むか撤退か、山でのジャッジの難しさが書かれている

 「年を重ねて自分の命の使い方を考えるようになりましたね。若いときなら自分の夢のために命をかけることに疑問など感じなかったのですが、今は少し意識が変わったと思う。1回しか使えない命を『自分のため』に使っていいのか? その死に方は正しいのか? という問いです」

 --多くの登山家が山で命を落とした。野口さんの知人・友人も

 「植村直己さんも、谷口けいちゃんも、栗城史多(くりき・のぶかず)君も亡くなった。ただ、そこが、自分が絶対的に信じたものから与えられた死に場だと考えれば、登山家が山で死ぬことは決して不幸なことではないと思う。でも僕は遭難して意識が薄れてゆくときに『これで良かった』とは思えない気がする。他にもやらねばならない仕事がある。山で死んだら、その役割も果たせないって思うのです」

 --それでも、山に登り続けたい

 「そうですね。ケガで一時、山から離れたときに講演で、挑戦について語っている自分がイヤになりました。自分ができていないことなのに“演じている”って。そうするとどんどんモチベーションが下がって、精神的にもつらくなった。つまり挑戦し、山へ登り続けることは、他の仕事を行う上での活力源にもなっていたのです」

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