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【中原英臣 あの医療情報ウソ?ホント!】ワクチン先進国だった日本コロナで後れを取る理由は? 訴訟で新しいワクチンの開発に及び腰に

 新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れている日本は、オリンピックの開催をめぐって世界から批判されています。いまや他国のワクチンに頼っている日本ですが、1980年代まではワクチンの先進国でした。水痘、日本脳炎、百日ぜきなどのワクチンを世界に先駆けて開発してきました。

 日本が自国のワクチンを開発できなくなった要因の1つが訴訟です。1970年ごろから麻疹や風疹、流行性耳下腺炎などの予防接種による健康被害が社会問題化し、1992年に予防接種被害東京集団訴訟で敗訴した国が上告を断念しました。

 このことを受けて、2年後の1994年に予防接種法が改正され接種は努力義務となりました。そのためワクチンの製造会社は需要が安定したワクチンだけを細々と製造するだけで、新しいワクチンの開発に及び腰になったのです。

 一方、海外では2000年ごろから重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)といった致死率の高いウイルス性の感染症が次々と流行したことから、新しい感染症に対するワクチンの開発が急速に進みました。

 今回、新型コロナワクチンとして注目を集めるmRNAワクチンですが、日本でも医薬基盤・健康・栄養研究所が開発を進めていましたが、2018年に国が臨床試験の予算を打ち切ったために頓挫してしまいました。

 いつまでもワクチンを輸入に頼るようなことをしていると、変異を繰り返す新型コロナウイルスだけでなく、新しい感染症の流行が起きるたびに、海外にワクチンの供与を要請することになります。

 ワクチンの開発には巨額なお金がかかります。感染が起きなければ使われることもないワクチンの研究や製造にかかる負担を企業に押し付けるだけでなく、政府がワクチンの開発を進められる仕組みを構築しないと、いつまでたっても感染症対策が遅れることになってしまいます。

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