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【BOOK】もう一つ自分を“産み直す”場所 “他人”と繋がる…リアルな私の内側の「家族」 桜木紫乃さん『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』 (1/3ページ)

 『家族じまい』や昨年映画化され話題となった直木賞受賞作『ホテルローヤル』など家族や血縁関係を描いて定評のある桜木紫乃さん。しかし、本作は血の繋(つな)がりのない人々の間に、家族的な繋がりが生まれていくという新たなテーマ。デビュー20年目に突入した桜木さんに執筆の動機などを聞いた。

文・竹縄昌 写真・原田直樹

 --昭和の香りがする長いタイトルですね

 「3年前に大竹まことさんのゴールデンラジオ(文化放送)に出演したとき、大竹さんが昭和50(1975)年に地方営業で釧路に行ったことがあるというお話をされたんです。『その時のメンバーが“俺と師匠とブルーボーイとストリッパー”だったんだよ』とおっしゃって、ああ、それ書きたいとその場で思ったんです。もうそれでタイトルが決まってしまって、大竹さんに書いてもいいですかってすぐ聞いたんです」 

 --なるほど

 「タイトルが向こうから来たんです。その4人が釧路ですれ違う話を書けたらこれはもう小説だろうって、お話を一本捕まえる瞬間を覚えているという珍しい1冊です。時代が昭和50年、釧路のキャバレーでブルーボーイとストリッパーが出てくる話は私しか書かかないだろう、と思いましたし他の人に書かれるのが悔しくもありました」

 --そこが執筆の始まりなのですね

 「でもね、タイトルを口にしたのは大竹さんだから、最終的に(主人公が)大竹さんのようになってしまう話にしちゃいけない、大竹さんのイメージを離れなければ小説にならないと思ったので、大竹さんの本をいろいろ読んで大竹さんから離れるのに1年ぐらいかかりましたかねえ。1年ぐらいタイトルを寝かせて、さあ、どう書こうかな、という期間が1年ぐらいあって、一昨年の11月ごろから書き始めて、去年の夏には全部書き終えました」

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