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【BOOK】もう一つ自分を“産み直す”場所 “他人”と繋がる…リアルな私の内側の「家族」 桜木紫乃さん『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』 (2/3ページ)

 --これまでの作品は家族、血族を表裏の糸のように紡いでいましたが、本書は突然“他人”が現れ、家族的な繋がりになっていきます

 「書き終わって気がついたことですけど、『家族じまい』は限りなくリアルな私の内側にある家族を表現していたと思うんです。でも、今回は疑似家族を描いて、家族というものに対する私の中にあるイメージがよりはっきりした気がしています」

 --というと

 「(自分を)産んでもらった場所というのはリアルな家族がいる場所だけども、もう一つ自分を産み直すという場所があるんじゃないだろうか、と思うんです。それが主人公の章介の場合は、パラダイスで3人とすれ違う一瞬だったろうなと。産みなおした自分に、大きくなったね、よく頑張っているね、という視線をくれる人は(他人でも)親なんじゃないか、と思うんです。だからその場所にいた人たちも親と呼んでいいと思います」

 --4人の背中にある人生が濃いですね

 「書きながら、みんなの謎が解けていった感じがしました、人と知り合う楽しさを章介と一緒に経験できた気がします。今回、(関係人物が)4人というのは初めての試みでした。これまでは2、3人という空間は書けていましたが、これと大竹さんのイメージから離れるのが難しかったんです」

 --どう違いますか

 「4人となると四角い空間だから格闘技のリングみたいな感じで、4人が集まった時に誰かがセリフをいって、それによって空間を作っていく。その作業が初めてで、なにかひとつ覚えた感じです」

 --ラストは泣けます

 「いままでなら、この終わり方はしてません。私もこの物語の中にいたから小説の美しい形よりも“人”を優先させました。カタルシスがあると聞いてホッとしてます」

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