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【BOOK】もう一つ自分を“産み直す”場所 “他人”と繋がる…リアルな私の内側の「家族」 桜木紫乃さん『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』 (3/3ページ)

 --作家デビューから20年目に入りました

 「無駄なことは何もなかったです。毎日小説のことを考えて暮らしたいです。でも、いろんなお話もいただいて、絵本もそのひとつ。最近はワクワクしたら能動的にやってみようと思っています」

 ■『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』KADOKAWA1760円(税込)

 ロックグループのクイーンが来日し、三億円事件が時効を迎えた昭和50年。20歳の章介は北海道釧路市の大型キャバレー「パラダイス」のアルバイトで、寮としてあてがわれた安普請のアパートに暮らしていた。寮には章介1人だけ。そこに博打うちの父親の訃報が届き、母親から風呂敷に包まれた父の遺骨が送られてきた。母親はそのまま出奔し、孤独となった章介。そんなとき、旅のマジシャン、女装のシャンソン歌手、そして自称28歳のストリッパーの3人がキャバレーの年末年始の興行のためにやってきて、寮に寄宿することに。使える部屋も少なく、やがて師匠と呼ぶマジシャンが章介と相部屋で、あとの2人も相部屋で寝食を共にすることになった。日々を過ごすうち、部屋に置かれた父の遺骨をめぐり、家族のような振る舞いを見せるようになる。孤独を癒やされた章介だが、やがて興行も千秋楽を迎え、そして3人は…。(初出 「小説 野性時代」2020年1月号~12月号)

 ■桜木紫乃(さくらぎ・しの) 1965年北海道釧路市生まれ。作家。56歳。2002年『雪虫』で「第82回オール読物新人賞」受賞。07年、『氷平線』所収の同作が刊行され単行本デビュー。12年、『ラブレス』が直木賞候補。同作は翌年、第19回島清恋愛文学賞を受賞。同年7月『ホテルローヤル』で第149回直木賞を受賞。また、昨年『家族じまい』が第15回中央公論文芸賞を受賞。『緋の河』は同じ釧路出身のカルーセル麻紀をモチーフにした、大河小説。今年3月初の絵本『いつか あなたを わすれても』(絵・オザワミカ)を集英社から上梓した。

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