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【BOOK】息子が突然の死、翌日から執筆 「迷宮」めぐる父と子の物語 岳真也さん『翔 wing spread』 (3/3ページ)

 --デビューから今年で55年、著書は160冊に及びます。ずっと作家でいられ続けた原動力は何でしょう

 「意地かな。いや、多分好きだからですね。僕の代表作の『水の旅立ち』は私小説風で、その後は歴史時代小説で売れましたが、一方で三田文学や早稲田文学などの文芸誌で、自分の書きたいものを書き続けてきました。その延長上に『翔』はあります。『翔』によって、私小説作家としての意地を見せた、と書いてくださった書評もありましたが、次回作では両方を融合させてみたいです」

 ■『翔(しょう)wing spread』牧野出版2640円税込

 学校、家族、社会の中で、こうありたい自分と現実の自分とのギャップに悩み、精神の病との闘いに苦しんできた1人の青年。しかし、回復の兆しが見え、未来への光明が差し込んだと思った矢先に突然死が訪れる。ギリシャ神話の中で空を飛び、墜落死するイカロスになりたいと父に話したことのある青年の30余年の人生に思いを馳せ、小説家の父は「生死(しょうじ)」を問い直す旅へ向かう。息子と「私」がたどる〈迷宮〉の旅の行方は…。

 ■岳真也(がく・しんや) 1947年、東京都生まれ。慶応大学大学院社会学研究科修士課程修了。66年、学生作家としてデビュー。2012年、第1回歴史時代作家クラブ賞実績功労賞受賞。代表作は『水の旅立ち』『福沢諭吉』。『吉良の言い分 真説・元禄忠臣蔵』がベストセラーに。他に『北越の龍 河井継之助』『麒麟 橋本左内』『土方歳三 修羅となりて北へ』『今こそ知っておきたい災害の日本史』『織田有楽斎 利休を超える戦国の茶人』など著書多数。

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