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【ドクター和のニッポン臨終図巻】東京医科歯科大名誉教授・藤田紘一郎さん 自らの身体で免疫の研究 (1/2ページ)

 僕が子どもだった昭和30~40年代は、寄生虫でお腹を壊すことは珍しくありませんでした。

 特に刺身類や生焼けの肉を食べた場合、寄生虫、なかにはサナダムシの卵や幼虫に苦しむ人がいたようです。腹痛や下痢が数日続き、ある日お尻から便とともに突然3~4メートルの物体が出てきた人を知っています。一生忘れられないほどの衝撃でしょう。東京・目黒の寄生虫博物館では、8・8メートルものサナダムシ君を見ることができます。

 このサナダムシをあえてお腹に飼っていたことで知られた、寄生虫博士こと東京医科歯科大名誉教授の藤田紘一郎さんが5月14日に都内の病院で亡くなりました。享年81。死因は誤嚥性肺炎との発表です。訃報が流れたとき、ある人からこんなことを訊かれました。

 「あのトンデモ医者の藤田さんは、10年間もサナダムシを飼っていたのに、変な病気にかかることなく81歳まで生きられたのはなんでですか?」

 僕は思わず笑ってしまった。

 「藤田先生はトンデモ医者ではありませんよ。熱帯医学と感染免疫学の素晴らしい研究者でした。自らの身体を使って、免疫の研究をされていたんです」

 「でも、お腹の中のサナダムシに昔の彼女の名前を付けていたそうですよ。キヨミちゃんて…私、自分の名前をサナダムシにつけられたらショックです」

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