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【ドクター和のニッポン臨終図巻】元プロ野球選手・大島康徳さん 余命ではなく天命を全う (1/2ページ)

 僕は「余命宣告」という言葉が大嫌いです。患者さんの生きる気力を奪ってしまうことがあるし、あくまで統計上の平均値を伝えるだけのことであって、よくハズレるからです。

 たとえば、末期がんで余命3カ月と病院で宣告された人が、在宅医療に切り替えてから半年以上生きたケースをたくさん見てきました。あるいは、余命3カ月と言われながらも、たった1週間で旅立ってしまう人も時々いるのです。

 命あるものは皆、いつか死ぬ。明日生きている保証のある人間なんて、この世に1人も存在しない。自分の余命さえわからないのに、他人様に余命をお知らせするなんて、医者だからといってもおこがましい気もするのです。だから患者さんに「先生、私はあとどれくらい生きられますか?」と訊かれても僕は口ごもってしまう。でもほんとうにあと数日だな…と感じた時は、ご家族には心の準備をしてもらうために、ご本人のいないところで丁寧にお話しします。

 しかし、余命を知ることでより強く、長く生きられる人もおられます。この人が、まさにそんな生き方でした。

 元プロ野球選手で日本ハムの監督も務め、野球評論家としても活躍されていた大島康徳さんが、6月30日に死去されました。享年70。死因は大腸がんとの発表です。大島さんは、2016年秋にステージ4の大腸がんと診断。肝臓にも転移がみつかり、余命1年と宣告されました。

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