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【今から始めよう!70代まで働く健康術】異常がない部位にも原因不明の痛み 解明進む脳のメカニズム (1/2ページ)

 先進国の約2割の人は、3カ月以上も痛みが続く、あるいは、痛みが反復する「慢性疼痛(とうつう)」に悩まされているという。画像診断や血液検査などで異常なしというケースも珍しくはない。その痛みに、脳のネットワーク異常が関係していることがある。

 「近年、痛みが脳を変え、脳が痛みを変えることがわかってきました。その結果、かつて原因不明といわれた慢性疼痛に対し、さまざまな仕組みが解明されつつあります」

 こう話すのは、東京慈恵会医科大学先端医学推進拠点・痛み脳科学センターの加藤総夫センター長(教授)=顔写真。脳と痛みのメカニズムについて数多くの基礎研究を行っている。そのひとつ、脳の右の扁桃体の中心核の活性化で、最初に感じた痛みの部位以外にも痛みに対し過敏になることを明らかにした。

 加藤センター長らの研究では、口の周辺に炎症が起こるラットモデルを作成し、そのラットが両足の裏の痛みに敏感になることをまず証明した。口の周辺が痛いはずなのに足の裏も痛む。当然、足には異常はない。ラットの脳では、右の扁桃体の中心核が活性化していた。その信号を遮断するような薬を投与すると、両足の痛みに対する敏感な反応が抑えられたのである。

 「原因不明で全身に痛みが生じる線維筋痛症という病気も、脳の痛みのネットワークが関与している可能性があります。脳のメカニズムの解明によって、新たな治療法の開発につなげたいと思っています」

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