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【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】自然と共存・共鳴していた縄文文化の結晶 日本人の精神文化の象徴 北海道・北東北の縄文遺跡群 (2/2ページ)

 これらの非実用的工芸の発達は、環状配石墓に埋葬されるような祭祀主宰者がいたことを示唆しており、縄文社会には自然界との儀礼的関係を司る神職のような階層が存在したと推察されるのです。世界遺産認定された縄文遺跡の多くは、祭祀・儀礼などの高い精神文化を示す遺跡で、これらの遺跡や出土品からは、縄文人が自然に敬意を払いつつも、「神」は自分の中に存在すると考えていたことがわかります。

 私は、縄文人が争いごとをしなかった一番の理由は、縄文人が「神」は人それぞれの「自分の心の中にある」と信じていて、お互いの「神」を尊重しあっていたからだと思います。今日のように「神」が自分の外に創造されると宗教争いが起きるのです。

 日本人は本来、すべてのものに神の存在を認める平和的な民族なので、縄文人こそが日本人のルーツといってもよいのではないでしょうか。「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、縄文人の思いやりの心や自然に対する接し方などを今日の私たちに伝えてくれるのです。

 ■黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ) 慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム(株)テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、旅について熱く語る。

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