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【BOOK】人間の美しさとはハートの強さ、カンボジアが舞台「現代の黙示録」 作家・桐野夏生さん『インドラネット』 (2/3ページ)

 --タイトルはいつ、どんな発想から

 「今回は、その3人きょうだいのイメージがずいぶん華麗だったので、宝石を思いました。いつもあまり深く考えずに決めているんです。そもそも、雑誌に連載を始める前に、決めておかないといけなかったんです」

 --人間の美しさに絶対に欠けてはならない要素というものがあるとしたら

 「ハートが強い人は美しいと思います。その人の言葉は信じられます。精神的なものですね」

 --この物語が完結したときに、心をよぎった感情、思いを教えてください

 「いつも、書き終わってほっとすると同時に、本当にこの結末でよかったのかどうかと考えます。今回は割と腑に落ちて、これでよしとは思ったものの、それでももうちょっと説明するべきだったのではないかとか、プロの作家として伝えるべきところがあったんじゃないかとか、足りなかった部分をいろいろ考えました。単行本になるときに加筆修正はもちろん、ずいぶんしました」

 --ところでコロナ禍に翻弄される現在の日本の状況をどう思いますか

 「人の心が変わってきたと思います。仕事も日常も、対面で会う機会がずいぶん減りました。人間関係のコミュニケーション能力のようなものがかなりそがれますから、関係性も変わっていくんじゃないでしょうか。いろいろなものが分断していくような気がします」

 --現在、もしくは今後扱いたい物語のテーマがあれば

 「今は週刊誌に、バブル時代のことを書いています。バブルでは、私自身、子育てをしていた時代であまり縁はなかったのですが、このときに狂騒状態になって生きていた人たちってどういう心境だったのかなと、日本人の検証の意味で書いています。あとは、昔、中絶やピル解禁を主張する中ピ連という団体がありましたね。彼女たちは今どうしているんだろう、みたいなことをもう一度考えてみたいと思っています」

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